金融CSRと倫理創発①はじめに

近年社会貢献への意識が高く国内の大企業は早くから
CSRとして、独自の進化を遂げようとしてきた。欧米から
輸入されたこの概念は今、どのようにわが国に根づき、
世の中に役立つ社会貢献と結びついていくのかを考察
した。特に金融機関におけるCSR体制はわが国では遅
れており、今後、倫理性を基軸にどこまで利他的経済を
遂行できるのか現状を追ってみた。

はじめに

金融機関における社会的貢献力を考える時、その影響力は
他の企業にはない力があると思われる。しかし2008年から
始まった金融危機では、情報の非対称性などからモラルハ
ザード(自己利益追求)が問題視され、新たに倫理の創発が
求められるようになった。では一体何が新たなる倫理の創発
と成り得るのか。近年、自発的倫理経営として騒がれている
CSRの視点から、またそれらを促進する社会的責任投資
(SRI)の変遷を踏まえ考察していく。ひとつには2006年に国連
環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した責任投
資原則(PRI)がある。この中の1番目の原則に「ESG
(環境・社会・ガバナンス)の課題を投資分析と意思決定プロセ
スに組み込む」とあり、投資家はCSR的価値観によって投資行
動の意思決定を行うのかどうかが議論となる。二つ目は2009~
2010年に発行されるISO26000である。この中では「透明度が
高く、倫理観の高い行動」とは「持続的発展と社会の繁栄とに
一致」し、「ステークホルダーの期待を考慮」したものとされ、
どこまで実践としての力を持つかが議論となる。この二つは
いずれも法的効力や第三者の評価を受けるものではない。
しかしこうした提唱やガイドラインが倫理を生み出し、新しい
価値観として金融システム全体に影響力を持ち、利他的市場
を形成し、理論体系を必要としてくるのであれば非常に重要な
創発と成り得る。ここではこれ等二つの創案から倫理経営の
有効性について金融機関を通して考察していく。また、これま
での考察や論じてきたこと以外に、複雑化した組織をひとつの
生命体と捉え、生命論パラダイムが生まれ、人は利他的意識
を実践できるという論にも触れる。効率性を重視した機械論、
あるいは合理的な経済学に基づく自己利益追求とは異なり、
生命論が現象として起こるひとつの創発がESG概念として捉
えるなら、こうしたパラダイムは従来のファイナンス理論に環境・
社会・ガバナンスへの配慮といった利他的な要素を加え、新た
な市場の理論体系の再考を迫ることになる。実際に効用関数
に環境や社会への配慮を議論すると、事後的な効用としての
満足度として、投資対象の社会的要素が加わるという余地の
あることが理解されており、CSR的価値観によって投資行動の
意思決定を行う可能性が示唆されているという。「人や社会に
役に立っている」という利他的意識による個人の主体的行動が
企業理念や企業で働く人々の「こころ」と結びつき、金融システ
ム全体に影響を及ぼすのである。このようなことから、今後企業
や金融機関が生き延びていくためには「倫理的経営」が重要な
要素となるが、それに伴う新たな市場の理論体系をどう築き上
げていくかが今後の大きな焦点となる。さらに、CSRの変遷を通
して戦前の日本が独自に築き上げてきた地域社会との共生に
ついても触れる。こうした古くて新しい企業理念を再認識し、
内的な倫理創発が個々に、或いは全ての組織において行われ、
その結果、利他的価値による社会的経済の発展に寄与すること
を目的とする。

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