新政権への危惧

官僚制を一概に批判するとマックス・ウエーバーを持ちださなく
てはならないようです。民主党への国民の期待が大きい分だけ
うまく行かなかった場合の反動は大きいともっぱらの評判。内部分
裂なんてことにならないように、新政権への危惧は少なくありませ
ん。


-民主党を中心とした政権誕生への国民への期待は、日本の国家の
在り方そのものを見直せという国民の声であろう。しかし、その
期待があっけなくしぼんだ場合の反動は大きい。何よりも自民党
敗北の原因は、首相が一部の幹部らの相談によって決められてき
たこと、要は一国の宰相の権威に正当性の根拠が乏しいことへの
反発だからだ。決して民主党の政治家1人1人の質の高さが公認さ
れたわけではない。

政治主導は政治家主導とは違う。政治家の意見は、本物の見識を
基礎に、国民の声を代表していなければならず、いたずらな官僚
たたきはかえって政治家の質の低さを天下にさらす。マックス・
ウェーバーを持ち出すまでもなく、優れた官僚制は体制を問わず、
公私を問わず必要だから、優れた官僚制を育てる意思のない独善
は、必ず批判の対象になる。

政治家の意見形成のプロセスが大切だ。小泉・竹中路線の「市場
原理主義」に対する批判はどうか。米国の市場主義は、日本では
考えられない厳しい規律によって維持され、それでも失敗するほ
どの世界である。それ故に不正や不公正がはびこる。格差社会は
競争によって生じたのではなく、多くはルールの欠落や不正によ
るものである。

こうした洞察を踏まえた批判が必要だ。リストラや資産の切り捨
てで企業価値を上げ、金融機関や破綻寸前の企業を救済しさえす
れば、ウォール街や兜町の再生が経済の再生であると思えるかも
知れない。

だがその過程での失業率の上昇を看過すれば、切り捨てられた傷
は容易には回復せず、むしろ深刻化する社会不安が増大する。社
会不安と引き換えの経済指標の回復では国民の生活は良くならな
い。金融危機の問題はここにある。民主党は、表面的な経済指数
の改善に一喜一憂する経済学者や評論家に踊らされてはならない。

民主党の政治主導の成否は意見形成プロセスが握る。政治家各人
の専門性や資質が乏しいのは自民党と大差なかろう。自民党時代
には審議会批判が大幅に阻止された。審議会批判には一理あるが、
「政治家が決めるのだから、審議会の意見を尊重する義務はない」
という姿勢はおごりだった。法制審の会社法部会を廃止したまま
時代の要請に対応できるか。

経団連が認めなければこの分野の制度は何も変えられない、という
状況を民主党は変えていけるか。意見集約プロセスも問われる。

日本経済新聞2009/9/3 「大機小機」より

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